専用居室(個室)は、有料老人ホームでの生活で一番長い時間を過ごすスペース(空間)です。したがって、専用居室(個室)に使い勝手などで不満があると、有料老人ホームでの生活全体が不満になってしまいかねません。
共有施設・設備と同様、「安全性(安全に利用できるか?)」「居住性(快適に暮らせるか?)」「機能性(使い勝手やそのものの機能)」に重点をおいてチェックするとよいでしょう。
- 居室の広さと形状、設備
- 要介護者向けの有料老人ホームの居室は、一般的に18㎡程度のワンルームタイプが多く、お元気な方向けの有料老人ホームでは1LDKなど25~40㎡程度の比較的広い居室が多いです。設備面でも要介護者向けの場合はトイレ・洗面・ベッド程度しかないのに対して、お元気な方向けの場合は、風呂や(ミニ)キッチンといった設備が付いていることが多いです。
ここでのポイントは次の通りです。- 設備の内容
トイレであれば便座保温付き・温水シャワー機能付きの有無、ベッドであれば電動介護ベッドなのか普通のベッドなのか、など - 何を準備しなければないないか?
寝具、カーテン、冷暖房器具、冷蔵庫、テレビ、電話機、収納棚など - 家具の配置、通路の確保など
見学時の居室の寸法をとっておき、新たに持ち込む家具等を配置してみましょう。車椅子などの移動スペースが確保されていますか? - 手すりの高さや位置
実際にベッドからトイレまで手すりを使って歩いてみるなど、生活動線を考えて設置されていますか?(最近のホームではあまり考えられないですが、昔からあるようなホームの一部などでは手すりが設置されている壁面からトイレなどの目的の場所が離れているなどといったこともあります)
- 設備の内容
- 環境
- 窓の位置(南側、北側など)、窓からの眺望(景色)、風通し、日差しはどうか?
- 建物内での居室の位置
- 意外と見落としやすい部分ですが、居室の階数や、居室と共有スペース(トイレ・風呂・食堂など)との位置関係も重要です。大きく次の3つのタイプに分類されます。
- 居住フロアと共有フロアがわかれているタイプ
自立者向けのホームに多く採用されているこの方式は、共有スペースと居室が同じ階に無いため移動距離は長くなりますが、居室が独立している分プライバシーが重視されます。 - 共有スペースのまわりに居室を配しているタイプ
要介護者向けホームに多く採用されているこの方式は、居室から共有スペースへの移動距離が短く移動しやすいため、共有スペースに人があつまりやすくなり入居者間の交流が活発になる傾向があります。一方で、居室と共有スペースの距離が短いために、共有スペースからの笑い声などの生活音が居室でも聞こえてしまうことがあり、神経質な方には不向きかもしれません。 - 共有スペースを各フロアの端に配しているタイプ
「1」と「2」の中間的なものです。共有スペースと正反対側の居室の場合は移動距離が長くなるため、自力で歩行が困難な方などには不向きかもしれません。
- 居住フロアと共有フロアがわかれているタイプ